成果報告
【11月26日(土)】
部会1(26日 10:00~12:00、司会:岡部俊哉)
「ロシアのウクライナ侵攻が今後の軍事作戦に及ぼす影響」をテーマに、3名の報告者(髙橋一平、佐々木孝博、土持太郎)から、作戦の対称性に着目した将来戦の様相、今年改定されたロシアの海軍ドクトリンを踏まえたロシアの海上作戦の特性、およびウクライナ軍の指揮統制システムから見えてくる我が国の指揮統制システムの課題についてそれぞれ報告が行われた。討論者(廣瀬陽子、松村五郎)からは、侵攻前の状況から実際に変化した事項の具体化、侵攻前後の戦い方の違いや戦いの主体や手段等について質問があった。最後はフロアも加わり、今後の軍事作戦に及ぼす影響等について活発な議論が行われた。
部会2「自由論題」(26日 10:00~12:00。司会:木原淳)
まず防衛大学校の浦上法久会員の報告「アフリカにおける平和と安定への新たなアプローチ(NAPSA)」と武蔵野大学の中村宏毅准教授の討論がなされ、日本の対アフリカ安全保障イニシアティブが論考されました。次いで愛知学院大学の大澤傑会員の報告「権威主義にとっての「ハイブリッド戦争」」と東京国際大学の武田康裕の討論がなされ、権威主義体制に対するデジタル技術の功罪が論考されました。最後に防衛大学校の中澤信一会員の報告「中国海警局に所属する船舶の尖閣派遣パターンと海警法の本気度」と同志社大学の浅野亮教授の討論がなされ、中国海警法施行後の武器使用の態勢が論考されました。いずれもフロアからの積極的な質疑応答が行われ、盛況な研究部会となりました。
共通部会1(26日 13:00~16:00、司会兼討論:武居智久)
テーマは「ロシアのウクライナ侵攻(ミリタリーの視点から)」である。報告者である小泉悠、岡田美保、長島純、齋藤大介が、それぞれロシアの軍事戦略思想、ロシアの政軍関係、宇宙・サイバー空間での作戦、作戦術から考察したウクライナ侵攻の目的や問題点について報告した。討論者である池内恵と神谷万丈からは、ロシアが苦戦している原因やウクライナ侵攻から得る日本の教訓について、報告者に質問があった。時間の制約上、フロアからの質問は割愛された。
【11月27日(日)】
部会3(27日 10:00~12:00、司会:田中誠)
「国際法から分析するロシアのウクライナ侵攻」をテーマに、3名の研究者(本吉祐樹、保井健呉、浦口薫)から、ロシアによるウクライナ侵攻と国連憲章体制、ロシアによるウクライナ国民の『移送・追放』及び第三国によるウクライナへの武器提供及び軍事情報提供の法的評価について報告が行われた。討論者(真山全)からは、軍事情報提供の評価、国連の対応が具体的制裁を伴っていないことの評価、強制移送の評価、中立法の概念、対抗措置による説明の可否、封鎖や捕獲の可否等について質疑が行われた。最後にフロアからの質疑も加わり、第三国の軍事支援が武力行使に該当する可能性等について活発な議論が行われた。
部会4(27日 10:00~12:00、司会兼討論:阿部亮子)
「アメリカの海洋戦略と中国の海洋進出」のテーマで開催された。相田守揮(防衛研究所)、福田潤一(笹川平和財団)、菊地茂雄(防衛研究所)から、中国のエアパワーのパワープロジェクションの発展、米国海軍の将来の戦略・作戦構想と装備、米国海兵隊の遠征前方基地作戦とスタンドイン部隊の課題について報告が行われた。阿部(同志社大学)から、中国の戦力投射の向上は軍事作戦をいかに変化させるか、日本は米国海軍にどのような支援を要請すべきか、海兵隊の戦争哲学とEABOとの整合性について質問があり、討論者の奥山真司(国際地政学研究所)から、各軍種の戦略文化はどのように浮彫りにできるかという点から討論がなされた。フロアからも質問が相次いだ。
共通部会2(27日 13:15、16:15 司会:竹平哲也)
「今後の日本の防衛装備開発、ロシアのウクライナ侵攻を踏まえて」をテーマに、ドローン、指揮統制ネットワーク、AI及び宇宙の各分野の技術動向について4名の報告者(部谷直亮、加藤義興、菊池裕紀、大谷康雄)から報告が行われた。装備、技術開発については、これまでも注目されてきた分野ではあったが、ウクライナ侵攻においてそれら装備等が実際にどのように活用されているか、装備や技術が期待された成果を上げているか否か、また新たな技術が導入されているか等について、パネリスト(田中宏明、中村康弘)およびフロアから質問があり、今後の防衛装備開発について活発な議論が行われた。





ご案内
日本防衛学会(JSDS)令和4年度 秋季研究大会のご案内
お陰様をもちまして、盛会裏に終了しました。
清秋の候、皆様にはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
このたび日本防衛学会では、防衛大学校の協力を得て、令和4年度 秋季研究大会を次のとおり開催する運びとなりました。
つきましては、ご多用中とは存じますが万障お繰り合わせのうえ、ご出席下さいますようご案内いたします。
令和4年 9月 28日
日本防衛学会 会長 國分 良成
開催日: 令和4年11月26日(土)10:00~19:00
11月27日(日)10:00~16:15
会 場: 防衛大学校 社会科学館3階 大教場、教育研究A館 A129教場
受付開始:9:00(社会科学館1階入口フロア)
* * *
秋季研究大会 プログラム
【11月26日(土)】
●午前の部 研究報告部会 10:00~12:00
部会1「ロシアのウクライナ侵攻が今後の軍事作戦に及ぼす影響」
社会科学館3階 大教場
〇報告
①「将来戦における情報・打撃機能等の無力化・逆利用」
陸上自衛隊教育訓練研究本部 髙橋 一平
②「ロシア・ウクライナ戦争における海上作戦 ―新『海洋ドクトリン』と事例研究―」
元在ロシア防衛駐在官、広島大学・東海大学 佐々木 孝博
③「ウクライナでの戦いに見られる指揮統制システムの重要性について」
航空自衛隊幹部学校航空研究センター 土持 太郎
〇討論者
慶應義塾大学 廣瀬 陽子
元陸上自衛隊東北方面総監 松村 五郎
〇司会
元陸上幕僚長 岡部 俊哉
部会2「自由論題」
教育研究A館 A129教場
【報告①】
「アフリカにおける平和と安定への新たなアプローチ(NAPSA)
―TICAD 8と日本の対アフリカ安全保障イニシアティブ―」
防衛大学校 浦上 法久
〇討論者
武蔵野大学 中村 宏毅
〇司会
防衛大学校 木原 淳
【報告②】
「権威主義にとっての「ハイブリッド戦争」―デジタル技術の功罪」
愛知学院大学 大澤 傑
〇討論者
東京国際大学 武田 康裕
〇司会
防衛大学校 木原 淳
【報告③】
「中国海警局に所属する船舶の尖閣派遣パターンと海警法の本気度
―中国海警法施行後の「武器使用」の本気度を探る―」
防衛大学校 中澤 信一
〇討論者
同志社大学 浅野 亮
〇司会
防衛大学校 木原 淳
〔休憩・昼食〕12:00~13:30
理事会 12:15~13:15 社会科学館1階 大会議室
●午後の部 研究報告部会 13:30~16:30
共通部会1「ロシアのウクライナ侵攻(ミリタリーの視点から)」
社会科学館3階 大教場
〇報告
①「軍事戦略思想から見たウクライナ戦争 『ハイブリッドな古い戦争』としての理解」
東京大学 小泉 悠
②「ウクライナ侵攻に至る政軍関係の諸問題 ―軍事専門職業主義の検討―」
防衛大学校 岡田 美保
③「新領域作戦から見たウクライナ侵攻 ―台湾有事に向けてのインプリケーション」
元空自幹部学校長 長島 純
④「ロシアのウクライナ侵攻の作戦的考察」
陸上自衛隊教育訓練研究本部 齋藤 大介
〇討論者
東京大学 池内 恵
防衛大学校 神谷 万丈
〇司会兼討論者
元海上幕僚長 武居 智久
総 会 16:40~17:00 社会科学館3階 大教場
日本防衛学会猪木正道賞発表・授与式 17:10~17:30 社会科学館3階 大教場
意見交換会 17:45~19:00 学生会館2階「丼丸」
【11月27日(日)】
●午前の部 研究報告部会 10:00~12:00
部会3「国際法から分析するロシアのウクライナ侵攻」
社会科学館3階 大教場
〇報告
①「ロシアによるウクライナ侵攻と国連憲章体制」
日本大学 本吉 祐樹
②「ロシアによるウクライナ国民の『移送・追放』に関する法的議論」
同志社大学 保井 健呉
③「第三国によるウクライナへの武器提供及び軍事情報提供の法的評価」
防衛大学校 浦口 薫
〇討論者
大阪学院大学 真山 全
〇司 会
防衛大学校 田中 誠
部会4「アメリカの海洋戦略と中国の海洋進出」
教育研究A館 A129教場
〇報告
①「中国のエアパワーによるパワープロジェクション」
防衛研究所 相田 守輝
②「米海軍の海洋戦略」
笹川平和財団 福田 潤一
③「米海兵隊の任務・役割の変革――対反乱作戦から海洋戦域における戦闘へ」
防衛研究所 菊地 茂雄
〇討論者
国際地政学研究所 奥山 真司
〇司会兼討論者
同志社大学 阿部 亮子
〔休憩・昼食〕12:00~13:15
●午後の部 研究報告部会 13:15~16:15
共通部会2「今後の日本の防衛装備開発、ロシアのウクライナ侵攻を踏まえて」
社会科学館3階 大教場
〇報告
①「ドローンの軍事的特徴がもたらす新たな戦闘空間“空地中間領域”」
慶應義塾大学 部谷 直亮
②「指揮統制ネットワークに係るシステム構築の必要性」
陸上自衛隊教育訓練研究本部 加藤 義輿
③「強いAIの軍事分野への適用及びその限界」
陸上自衛隊教育訓練研究本部 菊池 裕紀
④「宇宙安全保障における技術的趨勢」
航空自衛隊航空幕僚監部科学技術官 大谷 康雄
〇討論者
防衛大学校 田中 宏明
防衛大学校 中村 康弘
〇司会
防衛大学校 竹平 哲也
* * *
参加お申し込み方法および諸注意等
〇出欠のお返事は、返信用はがきに所用事項をご記入の上、10月28日(金)までにご投函下さい。
お申込みフォームでの返信も受け付けます。
〇非会員の聴講希望者は、11月21日(月)9:00までに学会HPお申込みフォームからご登録ください(締め切りました)。
〇研究大会参加者には、参加費として千円を申受けます(非会員および機関誌購読会員の方は2千5百円)。
また、意見交換会参加費は2千円です(ノンアルコールで行います)。非会員の方も意見交換会にお申込みいただけます。
いずれも、当日、大会受付にてお支払い下さい。
〇コロナ対策のため、参加者はマスクを着用し、入退館時の消毒等の措置にご協力下さい。
なお、大会当日、37.5度以上の発熱者の方は入場をお断りさせて頂きます。
〇レジュメは、11月22日(火)から28日(月)までの間、学会HPに掲載します。
アクセスに必要なパスワードは往復はがきにてお知らせしております。非会員の方には参加お申し込み後、メール等でお知らせします。
〇昼食は、学生会館2階の海鮮丼専門店「丼丸」を利用できます。
また、1階ファミリーマートでお弁当類を販売していますが、数に限りがありますので、馬堀海岸駅前のローソンや西友等で事前に購入して持参されることをお勧めします。
お弁当の喫食場所は、学生会館1階・2階のホールを利用いただけます。
〇学会員で研究大会参加のために、当日、託児所を利用される方には、保育料の半額(1日当たり保育料1万円に対して5千円を上限とする)を支援します。
①返信ハガキまたはお申込みフォームの託児所支援サービス欄にチェックし、
②本学会HPの「令和4年度 秋季研究大会のご案内」―「託児所支援サービスお申込み」から所要の手続きを行ってください。
〇学会費(年会費8千円)未納の方は、ホームページに記載の口座まで納入下さるようお願いします。
〇防衛大学校までの道順並びに会場案内は、「交通案内・校内案内図.pdf」をご覧下さい。